アメリカも順調ではない?

■混迷深めるアナログ停波問題

 先週ラスベガスで開催されたNABショーでは、1)アナログ放送停波問題、2)デジタル移行後の新ビジネス、3)CATV・衛星放送との利害調整、などが主要なテーマとして注目されていた。特にアナログ放送停波では、焦燥感を深める地方放送局を代表してワシントンへの厳しいメッセージが用意されているものと多くの参加者が考えていた。

 しかしリーハ氏は、基調講演でもアナログ放送停波におけるトラブルには一言も触れず、停波後の新ビジネスについても「IPTVやモバイル放送が有望」と軽く流す程度にとどめた。マイクが割れるほど声を張り上げるリーハ節は一見「力強く」聞こえてくるが、具体的なメッセージも心を打つ内容もなかった。


ATV業界の代表を招請し、停波告知問題を取り上げたセッションの風景

 リーハ氏が触れなかったとはいえ、アメリカはアナログ停波問題で少なからぬ混乱に直面している。まず、大きな課題となっているのは停波に関する「告知活動」だ。連邦政府が停波告知のために用意した予算は2000万ドル、日本円で約20億円に過ぎない。4大局のプライムタイムCMは30秒スポットで数億円のコストがかかる。このことを考えれば、この予算がいかに少ないかがわかる。この費用は事務経費にすぎず、具体的に停波を知らせる広告はテレビ局のボランティアに依存している。

 一方、テレビ局側は多額の無料広告予算を取っているとはいいながら、停波告知のCMは最近ちらほら見かける程度といえる。この事態に議会は焦燥感を深め、貧弱な予算しか割り当てないブッシュ大統領を批判する一方、FCCや商務省などに事態改善の圧力を加えている。また、強制的にCMを流すように臨時法立案の議論も飛び出している。

 もうひとつの問題は、停波にともないトラブルに巻き込まれると予想される約1300万世帯への移行対策だ。特に、600万世帯と予想されるアナログ放送だけの視聴世帯は、低所得層および遠隔地居住者に集中しており「停波問題は社会的弱者を直撃する」との懸念が広がっている。

 こうした世帯のトラブルを回避するために、商務省はデジタル・アナログ・コンバーター購入の助成金プログラムを実施している。これは1口40ドルの助成を1世帯2口まで申し込むことができる。商務省が認証しているデジアナ・コンバーターは60ドル前後で、ユーザーは20ドル程度の負担ですむことになる。

 2007年1月から申し込みが開始された同プログラムでは、赤い助成金カードを発行するが、その有効期限は90 日と決められている。コンバーターは最近ようやく量販店で姿を見かけるようになっているが、まだまだ品切れの場合も多い。また、遠隔地の住民にとっては、量販店まで足を運んで購入する機会がないという問題も発生している。こうした状況ではカードを手にしても有効期限が切れる可能性もあり、FCCと商務省は慌てて「有効期限切れの場合は再申請ができる」システムを追加した。

 また、来年2月にアナログ放送を停止するのは商業大型局だけで、LP(Low Power)TVと呼ばれる放送局は、その後もアナログ放送を一定期間続けることができる。LPTVは、難視聴地域で大手の再送信をしているコミュニティー放送局を多数含んでいる。一方、コンバーターの購入助成プログラムはすぐに終わってしまうので、視聴者はいまのうちにコンバーターの購入をすることが推奨されている。この場合「自分がLPTVの視聴者かどうか」を確かめることはお年寄りなどには難しく、しかも「アナログ・パススルー方式」という特別なコンバーターを購入する必要がある。

http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMITbo000021042008&cp=1
なんか、アメリカって順調なイメージがあったのですが、そうでもないんですねぇ。。(´・ω・`)

日本なんて、もっと無理ですよねぇ。。(汗)